「彼のことが好きで好きで、私からアプローチして結婚しました」
そんなふうに始まる恋愛や結婚は、とても情熱的でロマンチックですよね。でもその先に待っている日常や、関係性の変化までは、なかなか想像が及ばないものです。
少し前に、ある実力派女性タレントと、長年音楽の世界で活躍してきた男性アーティストの離婚が報じられました。このニュースを目にして、「最初に女性が男性を追いかけて始まった関係って、うまくいかなくなるものなの?」と感じた方も少なくないかもしれません。
実は、こうした“女性からの憧れ”で始まる恋愛・結婚が、時間とともに夫婦間のバランスに変化をもたらすことは、心理学や社会学の視点から見ると、決して珍しいことではないようです。
今回は、女性側が憧れて結婚した関係が、なぜうまくいかなくなるのか。その背景にある要因を見つめてみましょう。
「憧れ婚」から失敗に陥りやすい夫婦の特徴とは?
・理想を投影しすぎてしまう
恋の始まりに「この人ならきっと私を幸せにしてくれる」と強く思う気持ちは、ごく自然なことです。でもその理想は、あくまで“自分の中にある期待”であって、相手そのものではありません。時間が経つうちに現実とのギャップが見えてくると、「思っていたのと違う」という気持ちが募り、心がすれ違ってしまうことがあります。
・追われる側の“受け身”がもたらすズレ
男性が「追われる側」として関係が始まった場合、そのまま受け身で関係を続けてしまうケースがあります。「彼女は自分に夢中だから」と努力をしなくなり、女性側ばかりが気を遣ったり頑張ったりしてしまうと、「なんだか一人で走っている気がする」と疲れてしまうのです。結婚は、ふたりで歩幅をそろえるパートナーシップ。片方だけが努力していては、いずれズレが生まれてしまいます。
・成長スピードの違いが生む“見えない格差”
近年は、結婚や出産を経ても、自分の力でキャリアを築き、社会から評価される女性が増えています。一方で、男性が過去の実績に安住したり、変化を避けたりしていると、夫婦間の成長スピードにズレが生まれることも。「昔は尊敬していたけれど、今はその気持ちが薄れてしまった」⋯そんなふうに、目に見えない格差が、少しずつ心の距離になっていくのです。
・相手を尊敬できなくなる
愛情が冷めたわけではなくても、尊敬の気持ちが持てなくなったとき、夫婦関係には大きな影響が出ます。「昔はあんなに好きだったのに」と思い出すほど、今の違和感が苦しくなるものです。とくに、自分が成長していく中で相手が変わらないと、「このままでいいのかな」と感じるようになることも。“尊敬”は、長く関係を続けていくうえで、愛情と同じくらい大切な軸になるのです。
離婚=失敗じゃない時代に
現代は、「合わないなら離れる」という選択がより自然になってきました。とくに女性が経済的にも精神的にも自立しやすくなった今、結婚生活に“我慢”を必要以上に持ち込む必要はありません。
「好きで追いかけた人だったけど、今の私とは合わなくなった」
そんな潔さや切なさを受け止めることも、一つの愛のかたち。かつての選択を否定するのではなく、「あのときの気持ちは本物だった」と認めたうえで、いまの自分にとってよりよい選択をしていく——そんな柔軟さが、現代の女性たちの強さでもあるのだと思います。
“育てる関係”でいられるかどうかが鍵
とはいえ、「女性が追いかけて始まった恋はうまくいかない」というわけではありません。大切なのは、“どう始まったか”ではなく、“その後どう育てたか”ということ。
たとえば、お互いに変化を受け入れたり、尊敬できる部分を見つけ直したり、関係をアップデートし続ける努力があれば、どんな始まり方をした関係でも、長く穏やかに続けていくことは十分可能です。
恋も結婚も、ずっと同じである必要はありません。お互いが変わっていくからこそ、その都度立ち止まり、歩幅をそろえ直す。その積み重ねこそが、ふたりの関係をより深く、豊かにしてくれるのではないでしょうか。